トバタスペース アカデミー第3回 缶サットの電子部品を広げて作業するアカデミー生
第3回 缶サット製作 ミッションパッチ
第3回

空き缶を、人工衛星にする。 — 衛星開発体験(缶サット製作)ワークショップ/活動レポート —

2026.08.06 THU/九州工業大学 GYMLABO

2026年8月6日、九州工業大学・GYMLABO にアカデミー生が集合しました。第3回のテーマは 「衛星開発体験(缶サット製作)」。第2回で衛星ミッションを考えましたが、今回は どういう原理で人工衛星がミッションを果たすか、その基礎理解 の回です。空き缶サイズの模擬人工衛星=缶サットに入れるマイコンボード Raspberry Pi Pico を使ってつくります。

講師は、宇宙博士 こと九州工業大学 特任准教授・前田 恵介 先生。千葉工業大学 惑星探査研究センターなどで「ほどよし3・4号」「ASTERISC」といった超小型衛星の開発に携わり、能代宇宙イベント実行委員長として全国で宇宙教育を続けている先生です。

「トバタスペースアカデミー 第3回 缶サットワークショップ」のタイトルスライドを背にマイクで話す前田恵介先生
前田恵介先生の経歴を紹介するスライド。超小型衛星や成層圏気球の写真が並ぶ

導入は、宇宙産業そのものの話から。世界の宇宙市場の伸びが説明され、日本での伸びも期待されると説明されました。

「宇宙産業は拡大するのか? 国際宇宙市場成長予測(2015-2040)」のスライド

続いて、高校生が模擬衛星やロケットの打ち上げに挑戦する 宇宙甲子園 の紹介も。

「宇宙甲子園とは?」のスライド。缶サット部門・ロケット部門・気球部門・天測部門の4部門が並ぶ
チームごとに着席し、缶サットワークショップのレクチャーを聞くアカデミー生たち

— 缶サットとは、小さくても「衛星」である。

缶サットは、人工衛星と同じ技術要素を持ち、自分たちで決めたミッションを果たす自律型のシステム。今回のミッションは 「高度と加速度の推移が測れるようにする」 こと。ブレッドボード、ジャンパワイヤ、気圧・気温センサ、加速度センサ、電池ボックス、そして手のひらサイズの基板 Raspberry Pi Pico。これが、これから手元で小さな衛星になります。

机の上に並べられた缶サットの材料一式。黒いテープを巻いた空き缶、ブレッドボード、ジャンパワイヤ、センサモジュール、Raspberry Pi Pico、電池ボックス
Raspberry Pi Pico を手に持ち、マイコンのしくみを説明する前田恵介先生

Raspberry Pi Pico は、マイコンを載せた小さなボード。安くて扱いやすく、世界中の“ものづくり”の入口になっている一枚です。

— はじめての電子回路。まずはインストールから。

アカデミー生の多くは、電子回路を触るのも、マイコンを扱うのも、この日が初めて。だからこの回は、部品を組む前に 「動かせる状態をつくる」 ところからのスタートでした。

「開発環境」のスライド。初学者用Python開発環境 Thonny のダウンロード手順が示されている

手順そのものは一行ずつ書かれています。それでも、はじめての作業は、思ったところで止まります。ファイルが見つからない、Pico が認識されない、コピー先のフォルダが違う――。前田先生、アカデミー長の布施先生、九州工業大学の学生・大学院生による TA が席に駆けつけます。

教室のあちこちで手を挙げて質問するアカデミー生たち
Raspberry Pi Pico に USB ケーブルを差し込むアカデミー生の手元
袋から取り出した電子部品を確認し合うアカデミー生
はじめて手にする電子部品の袋を、笑顔で開けるアカデミー生

ブレッドボードの内部がどう繋がっているか、ジャンパワイヤをどのピンに挿すのか。昨日まで意味を持たなかった記号が、目の前の穴の位置と結びついていきます。電源の+と-を間違えると壊れる、電池をつないだまま USB を挿すと危険。本物の衛星開発と同じで、手順を守ることそのものが技術であることも、あわせて教わりました。

ブレッドボードとジャンパワイヤを机に広げ、配線に取りかかるチームGのアカデミー生
部品を広げ、顔を寄せ合って缶サットの製作に取り組むチームEのアカデミー生

この日、缶に詰めて飛ばすところまでは至りませんでしたが、はじめて手にしたマイコンをパソコンにつなぎ、ジャンパワイヤを一本ずつ挿していくその手つきは、たしかに 「つくる側」 のものでした。宇宙開発は、こういう地味な一歩から始まります。スタートラインに立った――それが、この日いちばんの成果でした。

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当日のスナップ

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